不動産名義変更等

新築住宅や中古住宅ローンの税金で得だと感じたこと(前編)

はじめに

 不動産を購入するのは人生で1回、多くても2回という人が多いと思います。修行時代から含めると司法書士業界に15年いますが、日々、不動産取引を間近で見て、こうすれば得だと思ったことを書きます。ただ全ての事案に当てはまることではないのでご了承ください。

 まずは新築住宅で経験したことからです。佐賀県のホームページによると中古住宅でも適用があるそうなので下記に要件を引用しておきます。

 土地を先行取得して、その後に建物を建築していくパターンです。不動産にはとにかく税金がたくさんついてまわります。その中でも不動産取得税という県税の還付を受けた話です。

不動産に関する税金

 まずは整理して不動産に関する税金です。売却時の住民税、国民健康保険税は盲点ですが、売って手に入った代金を全部使ってしまうと翌年痛い目にあうことがあります。怖いですね!

プロセス 税の種類1 税の種類2
売買契約時 印紙税 国税
購入時(取得時) 登録免許税 国税
不動産取得税 県税
持っている間 固定資産税 市税
売却時 譲渡所得税 国税(但し、発生しないことも多々あり)
住民税(翌年だけぐんと高くなることあり)
国民健康保険税(翌年だけと高くなることあり)
介護保険税(同じく翌年だけと高くなることあり)

恐怖! 突然、不動産取得税が請求される

 話を元に戻して、不動産取得税のことですが、土地を先行で購入して、新築工事が着工してしばらくすると、頼んでもいないのに県税事務所から見慣れない封書が届きます。開封してみると、振込用紙が入っています。

 よくよく読んでみると不動産取得税(土地)○○ 万円!結構な金額です。だいたい10万弱のことが多いです。しかも当然ながら期限が書いてあります。いきなりウン万円の税金の請求が来たら事前に説明がないとやはりびっくりします。何かの間違いだと思いたいですが、残念ながら本当です。

 では払うしかないのか? 答えは、

  1. 払ってもいいです。
  2. 払わなくてもいいです。

どっちなんだ?と思われるので解説します。

払わなくていい場合

 払わなくていい場合は 封書に書いてある電話番号に電話してこう伝えましょう。「不動産取得税の請求がきましたが、この後新築の家を建てる予定なんです。」

 担当者がこう返してきます。「わかりました。では猶予の手続きがありますので、役所に来てください」払わなくていいという話しでしたが、こういう話です。取得して土地に新築する場合には新築物件が建つまで待ってもらうことができる。結局払うのか!と言われそうですが、実は払う金額がかなり減額されます。

 例えば10万程度の請求が来てたのであれば猶予後、新築の後2,3万円になることが多いです(事案によりことなりますがだいたいこんな感じです)。

払う、又はこの制度を知らずに既に払った場合

 建物が建った後に県税事務所に、土地不動産取得税の還付請求ができます。減額できたはずウン万円を多く納めていたことになりますので。返してもらうことができます。

 これも同様に役所に行く必要がありますが、結構な金額が返ってくると思うと行きたくなります(奥さんを代理にすることもできます)。新築時の登記簿、通帳、認印が必要です。

 又この還付請求権は建物建築から5年経過すると時効消滅して請求できませんので、建物が建って5年以内の人は県税事務所に確認を取ってもいいかもしれませんね。

 但し、土地を先行取得して建物を建築しても、不動産取得税の請求が建物建築と同じ時期か建物建築後に来たらおそらく請求してもダメでしょう。

からくりの説明 

 制度のからくりを説明すると(面倒ならこのからくりを読み飛ばしてください)、土地不動産取得税のルールです。

土地・・固定資産評価額の半額×3パーセントが本来の税金額だが、上に新築住宅が建つ場合には一定額が値引きされる。

 つまり上物がない土地を取得したら値引きなしの税金が一旦はかかるが、その後一定期間後に上物(一定規格の住む家に限る)を建てた場合、土地の値引き額相当分をキャッシュバックしてもらえます。この期限は上物建てて5年です。こんな理屈です。

 住宅用土地を取得し、かつ、下記の要件を満たす場合、納税者の方の申請に基づき、当該土地にかかる既に納付した不動産取得税が還付されます。

新築住宅を取得する場合

(1) 以下の要件のいずれかを満たすこと

1.当該土地取得の前1年以内か後3年(平成32年4月1日以降の期間は2年)以内に新築すること。
※土地取得前1年以内の新築については、土地と建物の取得者が同一であること。

 2.当該土地と以下の要件を満たす新築未使用住宅とを同時に取得すること。
※土地と建物の取得者が同一であること。

A 自己居住の場合は平成10年4月1日以後の新築で建物が未使用であること

  B 自己居住以外の場合は建物が新築後1年以内の未使用住宅であること

(2) 以下の要件を満たす住宅の取得であること

  延床面積下限 延床面積上限
戸建住宅 戸建以外の住宅
貸家以外 50平方メートル以上 50平方メートル以上 240平方メートル以下
貸家 40平方メートル以上

中古住宅を取得する場合

(1) 当該土地取得の前1年以内か後1年以内(同時取得も含む)の取得であること。

 ※土地と建物の取得者が同一であること

(2) 以下の要件を満たす住宅の取得であること。

 1.取得した人が自ら居住すること。

 2.延床面積が50平方メートル以上240平方メートル以下であること。

 3.以下の要件のいずれかを満たすこと。

 A 昭和57年1月1日以後に新築された住宅

 B 昭和29年7月1日以降から昭和56年12月31日以前に新築された住宅で新耐震基準に適合しているもの。〔取得の日前2年以内に耐震診断を受けて証明されたものに限る。〕

※還付される金額

(1) 150万円×税率

(2) (1平方メートル当たりの固定資産評価額(平成33年3月31日までに取得した場合は評価額の2分の1の額))×(新築住宅の延床面積×2(200平方メートルを限度))×税率 

のいずれか高い方の額を還付することとなります。

終わりに

 次は中古住宅編です。